グランドパワー2018年8月号別冊「フィンランド軍突撃砲」の記事に補足と訂正がありましたので掲載いたします。


[補足]
BT-42突撃砲の車体史において、重要な段階を画するのは、1.1943年のターフラフティ(シュバリ戦線)における実戦試験、
2.1944年夏季戦闘、3.最終状態の3つである。以下、各車毎に前記3段階について補足する。※印は原資料に記載無し。


●R-702 1.不参加、2.第3小隊長ヘルゲ・サーレラ少尉車。
6月20日、タンミスオの岩でスタック、3.6月22日、乗員により爆破され、車体は炎上した。

●R-704 1.参加、2.※、3.12月に戦闘技術デポに移送。

●R-705 1.不参加、2.※、3.6月17日にムオラーで損傷、炎上、その後修理は行われず。

●R-706 1.不参加、2.※、3.12月に戦闘技術デポに移送。

●R-709 1.不参加、2.6月20日、ヴィープリで防衛戦に従事。
後に要塞橋で砲兵戦闘に従事。キヴィシッランサルミからハンヒヨキへ。
第2小隊長マルッティ・カーキネン少尉車。3.12月に戦闘技術デポに移送。

●R-710 1.参加。シヴァリで敵対戦車砲の射撃を受け命中弾を受けるが、装甲板は堪えた。
2.※、3.12月に戦闘技術デポに移送。

●R-711 1.不参加、2.6月20日、ヴィープリで防衛戦に従事。後に要塞橋で砲兵戦闘に従事。
キヴィシッランサルミからハンヒヨキへ。Y.リサッキ・ニエミネン中尉車。
3.12月に戦闘技術デポに移送。

■R-712 1.不参加、2.ヴィープリで防衛戦に従事。クバリネン二等軍曹車。
3.車輪走行により市街地でスタック。敵中に放棄。乗員は徒歩で橋を渡って避退。

●R-713 1.参加、2.6月20日、ヴィープリで防衛戦に従事。3.市街地で溝にスタック。
乗員により火が放たれ、車体は炎上。

●R-714 1.参加 2.※、3.12月に戦闘技術デポに移送。

●R-717 1.参加 2.独立戦車中隊長スティグ・シッペル中尉の指揮車。
6月20日、ヴィープリで防衛戦に従事。このときシッペルは各中隊を間接射撃で戦闘させるよう提案したが、ケンッピ大尉は同意しなかった。
3.アイラパー道とエリアー道の角で、T-34-85の戦車砲弾が砲塔に命中。損傷を受け敵中に放棄。
シッペル中尉とアディエル・ソルヴィストは、野原に安置される。

●Ps-511-7 1.不参加、2.ヴィープリで防衛戦に従事。第1中隊長スティグ・ホルムストリョーム車。
3.6月21日、カルヤラ郊外の溝でスタックした。

●Ps-511-8 1.参加、2.6月20〜23日、タンミスオで戦闘に参加。
ユースティラを経由してハンヒヨキに移動。3.12月に戦闘技術デポに移送。
本車は現在パロラの戦車博物館で見ることができる。

●Ps-511-15 1.不参加、2.※、3.6月18日、ヴァーラマキで走行装置の故障により爆破、放棄。

●Ps-511-16 1.不参加、2.※、3.12月に戦闘技術デポに移送

●Ps-511-18 1.不参加、2.※、3.12月に戦闘技術デポに移送。

●Ps-511-19 1/2.※、3.6月17日にキヴェンナパの北西側で爆破される。すでに15日に損傷して敵側に放置されていたもの。

●Ps-511-20 1.不参加、2.ヴィープリのカルヤラ郊外で防衛戦に従事。
6月22日、ユースティラ経由してハンヒヨキに移動。3.12月に戦闘技術デポに移送。

 

[訂正がありましたのでお詫びいたします]

■Ps-511-8はR-708と同一車体である(前にR-710と書いたのは誤り。
この資料を見ると、R番号からPs番号へは、末尾がイコールで移行しているようだ)。

■独立戦車中隊の幕僚はヴィープリ戦後、中隊の司令部に戻った。
中隊は戦闘地区で、下士官1名、兵4名が負傷した。

■地峡で撃破されるか乗員により破壊されて、ソ連側に放棄されたBT-42は8輌である。
車体番号は、R-702/-705/-712/-713/-717、Ps-511-7/-15/-19である。

■独立戦車中隊の実質的な戦闘期間は、1944年6月20日から7月1日までである。

■9ページ左側の行、武装と機動力の項3行目から4行目
誤:「操砲は原型改造して砲同様砲側右側」を、
正:「操砲は原型を改造して砲側右側」に訂正します。

■75ページ右側の行
誤:Ps531-43「カロリーナ」を、
正:Ps531-43に訂正します。

■55ページ上写真の解説が58ページ上写真の解説と同じでした。
55ページ上写真の解説は以下となります。

Ps-44号車「マイヤ」。装甲バイザー上に文字が書かれている。ヴオサルミの北岸で整備中の姿。
車体のあちこちに、擬装用の木の葉が括り付けられている。
車長はミッコ・リーマッタ上級軍曹、オリジナルのツィンメリットコーティング、コンクリートや丸太によるフィンランド仕様の「増加装甲」がよくわかる。

■39ページ下写真の解説部分最初の「ほぼ最大仰角(40度)姿勢を取った」の文は、
この写真解説とは関係ありません。

 





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